うつ病とは、
ストレスや長時間残業等が原因で、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)のバランスが壊れてしまう病気のことをいいます。脳が萎縮し、仕事中はもちろんプライベートでもあらゆる「興味や気力」が失われ、笑顔も消え、「喜び」という感情が持てなくなります。強いストレスや不安感から逃れるために、自己防衛の手段として、脳の動きを低下させた状態と考えれば、解りやすいと思います。
新型うつ病の人々とは
仕事中だけ「うつ状態」になる若者の場合、
帰社後や休職期間中はとても元気です。
<帰社後>
①会社の同僚と飲みに行くと、誰よりも元気になり、大笑いもできる。
②合コンに進んで参加し、カラオケボックスで大騒ぎをしていた。
③インターネットなどを使った趣味や活動は、毎晩かかさない。
など、同僚からの証言が多数寄せられています。
<休職期間中>
①会社の独身寮で、休職中の同僚同士で昼間から酒を飲み、時に大騒ぎをする。
②毎日、近所のパチンコ屋さんに入り浸っている。
③司法試験や行政書士の試験勉強をしている。
④実家に帰ったはずが、実際は海外留学をしている。
⑤健保組合から傷病手当金の支給を受けながら、バイトをしたり、転職活動をしている。 etc…
新型うつは夜更かしから始まる
仕事中だけ「うつ状態」となる社員に
共通する「きっかけ」は、夜更かしです。
①毎日、インターネットやTV番組を深夜から朝方まで楽しんでいる人達で、
②極端に睡眠時間が短いこと。
③このため、頻繁に、遅刻や欠勤をし、
④上司に怒られても、毎日、夜更かしするという「生活習慣」が改まらない人
であると、多くの産業医から報告を頂いています。
上司に何回も怒られ、一応、反省はするものの、再度、寝坊し、遅刻してしまった時に、「うつ病」という最後の切り札を切るのです。遅刻や仕事中のミスなどの原因が「病気」となれば、上司からはもう叱られないことを彼らはよく知っています。
ストレスフルな職場や上司から離れ、月給の2/3にあたる「傷病手当金」の支給を受けながら、仕事もせずに「好きなこと」ができる休職期間です。ある意味では、病気になったもの勝ちなのかもしれません。ただし、詐病であれば、詐欺罪などの罰を受けることになります。
産業保健の現場では、上記のような「仕事中だけうつ病」の方であっても、主治医の診断書に病名が記入され、休職の勧告の文言が記載されていれば、本当のうつ病の方と同等の扱いを採ることがほとんどです。本当に病気になっている人たちからすれば、新型うつの人のお陰で、会社から厳しい対応を受けたり、就業規則上の病気療養期間の短縮化に伴い、復職復帰ができなくなったりしています。
新型うつ病の対策
まず、職場における労働環境に問題はないか、人事部門が中心になって、ラインの役席者や同僚など複数の人からヒアリングを行います。
特段の問題がないのであれば、未熟な若い社員への生活指導を徹底することしかありません。
仕事中だけ「うつ状態」となる社員の対策は、社員がはじめて遅刻をしてきたときに、直属上司が、しっかりとサラリーマンとしての心構えを教え、睡眠時間を6時間以上確保するよう生活指導を実施し、二度と遅刻をしないことを約束させることが、重要なポイントになります。また昨夜は何時に就寝したか、6ヶ月間など期限を決めて、毎朝上司に報告させることなども効果があります。
遅刻を平気で繰り返すことができる社員は、本来、うつ病からは最も遠い性格の人です。会社や仕事の優先順位が、深夜のネットなど夜更かしをする理由よりも低い順位になっていることが多いのです。上司として威厳のある態度で「最初の遅刻」を見逃さず、しっかりと叱って頂きたいと思います。
また、仕事中だけ「うつ状態」の人は、
人生を成功させるには、仕事中のコンディションを最善の状態になるよう体調管理することが最も大切であることに早く気が付いてほしいと思います。日々の夜更かしなどが原因で、職場から逃げてしまった経験は、将来何度も起こるであろう解決困難なことに対応ができず、「逃げ癖」となります。元来、精神疾患から最も遠い性格でありながら、病気療養という時間を経験するうちに、本当に病気になってしまう人がたくさんいます。