1. 私見
  2. 402 view

究極のメンタル対策「雑談」

コロナ禍に我々の働き方は、大きく変化しました。それはテレワークの普及に伴う社内外のコミュニケーション(商談スタイルや飲みにケーションも)の変化です。特に、社員同士で会話をする機会が大幅に減ってしまいました。
しかし、今ではどこの会社でも「ごく普通」にオンラインのサービスを積極的に活用し、移動時間を考えなくて良いことから、便利さが優先され、今後とも利用頻度は減らないのではと思っています。

問題は、テレワークで仕事をスタートした入社3~4年目の若手社員の”社会人としての実力”が、今年入社した1年目の新卒社員と大して変わらない、成長していない。と企業の人事担当者からの嘆く声が聞こえることにあります。

若手社員に限りませんが、仕事上の疑問や不安を気軽に相談できない環境にさえ気づかずにワンオペ仕事をしている人が増えています。
ワンオペ仕事では、社会人として必要なコミュニケーション能力も育ちません。仕事の知識の多くは、周囲の人から得ていくことしかなく、PC画面の向こう側で、誰の力も借りずに自然に育つものではないのでしょう。

日々ますます減少する職場のコミュニケーション。
なかでも特にどうでもいい「雑談」コミュニケーションなどは、完全に蚊帳の外に忘れ去られています。

その昔、皆さんが小学校や中学校に通っていた時のことを思い出してください。
「勉強」が好きだから学校に行っていた人は、決して多くはなかったはずです。
せいぜい2割程度の優秀な人は、勉強が好きだったのかもしれませんが、多くの人は学校のクラスメイトと話ができるというシンプルな理由こそが、学校に足を運ぶシンプルな動機になっていたはずです。
職場も同様です。たわいのない話をしたり、笑ったりすることが毎日はたらく上で大きな「職場に向かう」動機になっています。「仕事」がただ単に好きだと素直に言える人は、結局のところ2割程度でり、学生時代とあまり変わらないのだと気が付くかと思います。

では、8割のそれほど仕事が好きではない人を、どうすればいいのでしょう?
若手の多くに蔓延している「あきらめ感」を改善できず、感じ取ることも出来ずに文句ばかりを言っている悪気のない上司はたくさんいます。

部下となるメンバーとの仕事以外の会話はどのくらいありますか?
メンバーが好きなタレントやアーティストのことを知っていますか?
土日に誰とどこに遊びに行ったとか、知らない上司が多いはずです。
自分たちの職場が楽しくないと感じている人や、
終業時間を示す時計の針を、気配を消しながら追加仕事を押し付けられないよう静かに暮らしている人もいるはずです。
学校だっていじめは無くならないわけで、職場においても、つらい思いをしている人は必ずいるのです。

しかし、私たちは大人であり、よき職場にしよう!と部長や課長などの上司が声をあげ、まず、「メンバー同士の会話数を増やす!」という業務目標とは異なる、少し変わった目標を掲げてみてください。

楽しい会話、好奇心をくすぐる会話、好きなゲームや得意な分野をチームのメンバー同士で共有できる「雑談」を、真剣に増やすための後押しを上司の皆さんが小さな声で始めてみませんか?

とても簡単なことですが、「雑談」の効果は絶大です。

「雑談」もできない上司に、些細な不安を打ち明けたりすることができるでしょうか。昭和のころから「報告・連絡・相談」を積極的に行いなさいと、日本のあらゆる職場において励行されている例の「ホウレンソウ」。
報連相は上司に都合がいいだけの合言葉であり、多くの部下はメリットを感じていないのです。マイナスの話は、常に上司の機嫌を窺いながら、先送りをするのが基本です。

もし、普段からバカ話が普通にできる近しい距離感の上司部下の関係がメンバー全員とあり、メンバー同士も年代を問わず普通に 仲が良く、気軽に相談したり、楽しく競い合うような人間関係が チーム内に構築されていて、互いの信頼関係ができあがっていたとしたら、どうでしょう。

取引上の些細な不安が、大きな失敗につながる前に、チーム全体で善後策を出し合うなどの対策がとれ、特定の個人を責める必要もなくなることでしょう。

信頼関係がそもそもあれば、たいていの失敗をチームとして未然に防ぐことができるのです。

信頼関係は、会話の数の多さで決まります。
仕事上の命令の多くは、上司からの一方通行のため会話数には含まれません。仕事上の会話しかしていないと思う上司の方の会話数はゼロと考えてみてください。上司の皆さん!どうでしょう?

社員全員にとって楽しい職場にしようと期待せず、無理もせず、少しづつ、自然に、ただチーム全員に楽しい職場にしようと声を出して語り掛け続けることを、まずはチームのトップが始めて見る。

その方法は「雑談」数を増やすこと(笑)だけです! 簡単です!

そしてチーム内で「会話数」を増やすためのMC的な役割を担ってもらうメンバーを1人、2人と少しづつ増やす努力を続けていけば、比較的短期間に、素敵な職場環境ができあがります。

そして、楽しい職場にしようとメンバー全員が心に留めるようになった頃には、メンタル不調者などは1人も発生しない職場になることでしょう。

それどころか、メンバーの8割もいる「仕事がそれほど好きではなかった人たち」も、共に協力しながら、苦労してはたらくこと自体が楽しいと感じ始める人が増えてきます。「雑談」だけで。。。
会社に出社するのが好きではなかったメンバーが、「生産性」を、あまり意識せずに向上させているのだと自覚できるメンバーに変化したことに気づくでしょう。

楽しい職場とは、楽しい会話ができる職場のことであり、
私はこの取り組みの「雑談作戦」こそが、究極の職場でできるメンタルヘルス対策だと数年前に発見し、まず、我々の会社で実験し、大成功しています。

ダマされたと思い「雑談」を増やそう!とシンプルにチームメンバー全員に提案して見てください。必ず笑いでいっぱいの楽しい職場になりますから。

私見の最近記事

  1. 究極のメンタル対策「雑談」

  2. 健康診断に命を助けられた話

  3. 産業保健革命とは

  4. 長時間労働による過労自殺をどう防ぐか

  5. ストレスチェックの問題点

関連記事