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産業医の就業制限(ドクターストップ)について

皆さんの会社には、産業医はいますか?
産業医面談を受けたことはありますか?
50人以上の職場の場合、労働安全衛生法の定めにより、「産業医の選任義務」があります。

過重(長時間)労働者面談での就業制限

産業医は、毎月1回以上、職場を巡視し、衛生委員会に出席し、社員の健康管理指導等の業務を実施しなければなりません。平成18年より、過労死やうつ病自殺などを予防するため、月に100時間超の残業をした場合は、翌月までの間に産業医面談を実施し、「就業可・就業不可、残業禁止」などの就業制限の判定を受けなければならないことが義務化され、その記録を5年間保存することになっています。

産業医の認知度が急上昇しています!

私の周りにいる知り合いに、「産業医面談」を受けたことがあるか尋ねると、数年前までは、ほとんどの人は、聞いたことはあるものの、「会ったことが無い」という回答が圧倒的に多かったのですが、最近では、ほとんどの人が、「産業医面談」を経験し、制度についてもよく知っているという状態になりました。

就業制限とは

労働者が健康を害したり、健康の悪化につながる恐れがある場合、産業医は就業制限(ドクターストップ)を勧告し、また、事業者は、産業医面談を受けるよう指示しなければなりません。社員が、産業医面談を拒んだ時は、社員の自己負担で、他の医師による「診断書」を会社に提出させなければなりません!
(最近では、メンタル不調者の休職・復職判定などが、産業医面談の中心となっています。)

産業医の勧告制度は、K1やボクシングの試合での「リングドクター」の制度と同様、「ドクターストップ」の発令と同時に試合が中止されることとほぼ同じです。産業医が就業制限を事業者に勧告した場合、事業者は直ちに、産業医の判定結果に従うことが義務付けられています。万一、産業医の勧告が不服だったとしても、それを理由に「産業医との契約を解約」することは法律で禁じられています。

労働安全衛生法は、労働者の健康を守るための事業者の義務を定めた法律であり事業者にとっては厳しい制度です。

もし、産業医の勧告を無視して、社員を働かせた場合は、
社長や人事の責任者(人事部長)、直属上司などは、
10年以下の懲役 または 300万円以下の罰金(※)
※ 労働者の意思に反する強制労働(労働基準法第5条)
もしくは
6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金
※ 病者の就業禁止違反(労働安全衛生法第68条)

となる可能性が有ります。

また、逆に、
メンタル休職者が、職場復帰をしたいと主治医の診断書を持参の上、会社に申告した場合、
産業医による復職判定の結果、「復職を許可しない」と判定が出たにもかかわらず、産業医の意見を無視し、事業者が、復職を許可してしまった場合、復職後に、病気が再発したり、病状が悪化することになった時には、上記の「病者の就業禁止違反」が適用される可能性を否定できません。

※注意
近年、主治医の診断書は、「本人の希望」を強く反映したものとして扱われる傾向になっています。
このため、多くの企業では、主治医の診断書は、通院の状況などを確認する書類として、参考にはするものの、復職判定の際には、主治医の診断書を考慮しない、参考にしないことが主流です。また、産業医の意見を尊重し、休職・復職の可否を決定する。と「就業規則」や「休職・復職規定」に明記する企業が増えています。

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