前回の記事:過労死・過労自殺を出した会社の法令違反(1)
東京労働局は、管下18 の労働基準監督署(支署)が平成23 年度に実施した、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場に対する監督指導結果の概要を以下のとおり取りまとめています。
2 被災労働者に係る健康管理状況
監督指導を実施した54事業場のうち、
(1) 21事業場(38.9%)では、過重労働による健康被害を受けた労働者に対し、発症前の1年間に健康診断を受診させていなかった。
(2) 19事業場(35.2%)では、被災労働者が発症した時期に、医師による面接指導等の制度を導入していなかった。また、健康診断を実施した被災労働者33人のうち、15人に所見が認められた。
(3) 6事業場(40.0%)では、発症前に受診した健康診断で何らかの所見が認められた被災労働者に対し、健康診断の事後措置を講じていなかった。
3 以上のとおり、
過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場については、労働関係法令違反の比率が高く(54事業場のうち、47事業場が違反(違反率87%)。一般の監督指導における違反率は約71%)、かつ、被災労働者に係る健康管理体制の不備が少なからず認められた。
と資料をまとめている。
出典:http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0052/0500/20128313131.pdf
<コメント>
労働時間の短縮については、例えば「20時以降の残業を禁止する」などのように、対応している企業が増えています。(銀行・証券業界など)
健康診断の結果、異常所見がある社員については、安全配慮・健康配慮義務により産業医や保健師による保健指導を実施しなければなりませんが、実施していない会社が、まだまだ多く見られます。過重労働(月100時間超の残業)者については、会社の規模や従業員数に関係なく、翌月までに、医師の面談(通常勤務の可否などを判定)を実施しなければいけません。法令違反があれば、人事等の責任者を司法処分(刑事事件)する旨の通達が出ていますので、今一度、会社の体制について見直してみては如何でしょうか。
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