1. 産業医
  2. 555 view

産業医|勤務時間は何時間が適正か

産業医|勤務時間は何時間が適正か

一般に、下記からおおむね一般的な「産業医に勤務してもらう時間」がわかります。

①従業員の人数
②過重労働者(月100時間超もしくは2~6ヶ月平均で80時間超)の人数
③うつ病等メンタル面で悩んでいる社員数

定期健診では、従業員の2人に1人が異常所見者です(厚生労働省統計)

まず、①の従業員の人数についてですが、現在、国内ではたらく労働者のうち、定期健康診断で1つ以上の異常所見がある人(※)の割合は約50%です。

ここから、産業医による「健康診断の事後フォロー」をしなければならない人数を推計し、勤務時間のボリュームチェックをします。

(※)異常所見者とは、血圧が高いとか、コレステロールが高いなど、健診結果が、AかBの正常区分を除いた、C,D,E区分となった人のことを言います。(実施した医療機関によってC,D,Eなどの判定基準は若干異なります)

例えば、従業員数が200名の企業(事業場単位)の場合、50%にあたる約100名の方々を対象者となります。

理想としては、1人30分とすれば、年間で30分×100人=50時間/年となり、毎月、約4時間の勤務が必要ですが、
1人20分の場合だと、毎月2.7時間
1人15分の場合だと、毎月2時間ということになります。

(30分の場合、実際の面談は20~25分で、残りは、産業医が所見を記録したり、次の社員さんをお呼びするためのインターバルが必要です)

 

過重労働者の面接指導

②の産業医による「過重労働者の面接指導」とは、疲労の蓄積度を医師がチェックしたうえで、ドクターストップ(残業禁止、休職など)の要否を判定してもらうことで、労働者を過労死やメンタル不調から守ることが目的です。50名以上の事業場では、H18/4より法律で義務化され、H20/4からは人数に関係なく、すべての事業場で医師の診断を受けさせなければなりません。

年俸制を導入している企業やタイムカード制になっていない企業は、「実質の残業時間が不明確」になっているため、社内的な基準を設けて、対象者を決定します。

面談対象者の抽出基準については、(安全)衛生委員会で抽出基準を決定することになっています(議事録の保管が必要です)。例えば、(1)残業時間が月80時間超の者は、(2)疲労蓄積チェックシートを提出させ、(3)疲労蓄積が認められるものは、(4)翌月までに産業医面談を受けなければならない などと基準を明確に定めてください。(労働安全衛生法)IT系の企業や金融業、デザイン、設計会社などのクリエイティブな仕事をする人が多い職場の場合、仕事が深夜に及ぶことが日常的です。当然ながら残業が多くなります。

過重労働者面談では、a.残業が可か、否か、時間の制限(ドクターストップとお考え下さい)をつけるかどうかなどを医学的な見地から産業医が判定します。

企業で残業が多い人達は、優秀で、仕事ができる方々が多く、健康上も何ら問題がないのですが、面談を進めていくうちに、b.メンタル的に厳しいと思われる社員が数%いることがあり、この場合、残業を制限するかどうか、ご本人の同意を得た上で、会社側(上司や人事部)に事前相談を産業医からさせて頂きます。

時間配分としては、元気な方々が多ければ、一人あたり5分~10分程度と、ごく短時間で対応ができますので、毎月の過重労働者の平均人数を教えてください。

季節的に(決算期末など)残業時間が変動する会社の場合は、①と②のバランスを考えていただき、産業医の訪問時間をおおむね決定していただきたいと思います。

メンタル相談

現在、産業医にもっとも期待されている分野が、社員さんのメンタル予防とメンタル不調者のフォローです。③のメンタルで心配のある方がいる場合、理想的には、初回の面談は、60分は確保していただきたいところです。なぜ、うつ的な状況に陥ってしまったか、その背景と理由などを、ヒアリングをしないとならないからです。2回目以降の面談は、経過観察ということになり、20分~30分で十分対応が可能です。

 結 論

労働者数 60名以下 毎月1回 1時間~2時間
労働者数200名以下 毎月1回 2時間~4時間
労働者数400名以下 毎月2回 2時間~4時間 ×2回

勤務の時間が決まらないと、産業医の募集条件が決まらないため、最初に、ご検討をお願いいたします。また、企業ですから「予算」もあるかと思いますので、どこを削るかなどご相談に応じます。

産業医の最近記事

  1. 嘱託産業医の訪問頻度は毎月1回以上が原則です。

  2. 産業医の名義貸し|大阪出張

  3. 衛生委員会の設置とその運営

  4. 産業医の就業制限(ドクターストップ)について

  5. メンタル休職者は、安易に復職しないこと

関連記事